「頭金はどれぐらい入れるのがいいんでしょうか?」
住宅購入のご相談を受けていると、よくこういったご質問を受けます。
実際、少し前までは「頭金は2割が理想」と言われることも多く、借入額が少ないほど安全、という考え方が一般的でした。
ただ最近は、SNSやYouTubeなどで「今はフルローンの方が有利」という意見も増えています。
では実際、どちらが正しいのでしょうか。
結論から言うと、「その人の家計による」です。
かなり当たり前の話に聞こえるかもしれませんが、住宅購入は“理論上の正解”よりも、“その家庭が安心して続けられるか”の方がずっと重要です。
家を買う時は、住宅価格以外にもかなりお金がかかる
住宅購入を考えると、多くの方は「いくらの住宅を購入するのか」に意識が向きます。
でも実際には、家の価格以外にもかなりまとまったお金が必要になります。
例えば、仲介手数料、登記費用、火災保険、引っ越し代、家具・家電、固定資産税などです。
新生活を始めるタイミングは、想像以上にお金が出ていきます。
ここで頭金を入れすぎると、「家は買えたけど、手元のお金がほとんど残らない」という状態になりやすいんですね。
特に30代の共働き夫婦の場合、これから教育費が本格化するケースも多いです。
さらに、育休や転職、時短勤務など、収入が一時的に下がる可能性もあります。
そのタイミングで貯金が少ないと、一気に苦しくなります。
住宅ローンは低金利ですが、カードローンやフリーローンは金利が高めです。
「頭金を入れすぎたせいで、後から高い金利で借り直す」という状態は、できれば避けたいところです。
フルローンが有利と言われる理由:インフレ
最近「今はフルローンの方が得」という話をよく見かけます。
これは、今後インフレが進む可能性を前提にした考え方です。
インフレとは、簡単に言えば「モノの値段が上がり、お金の価値が下がる状態」です。
つまり、住宅の価格が上がっていく一方で、今借りた住宅ローンの金額は変わりません。
さらに将来的に給与が上がれば、昔の金額で借りたローンを、相対的には“軽くなったお金”で返していくことになります。
この理屈だけを見ると、
「今のうちに低金利で多めに借りた方が有利では?」
という考え方になるわけです。
実際、理論上は間違っていません。
また、住宅ローンには団体信用生命保険があります。
これは、死亡や高度障害など万が一のことがあった際、住宅ローン残高がゼロになる仕組みです。
そのため生命保険の代わりに「低金利の団信付きローンを長期間活用する」という考え方をする人もいます。
ただし、フルローンにはかなり強い前提条件がある
ただ、ここで注意したいのが、「理論上有利」と「現実で耐えられる」は全く別ということです。
例えば、フルローンは借入額が大きくなるので、当然ながら金利上昇の影響も大きくなります。
今は変動金利を選ぶ方が多いですが、将来もし金利が上がれば、返済額も増える可能性があります。
その時に、冷静でいられるか。
これはかなり大きいです。
住宅ローンは、30年以上付き合うケースも珍しくありません。
毎月「また金利上がるのかな…」と不安を抱え続けるのは、精神的にかなり消耗します。
また、「インフレだから借金有利」という理論も、給与がちゃんと増えることが前提です。
物価だけ上がって、給料が増えなければ、普通に生活は苦しくなります。
さらに、共働き前提でギリギリのローンを組んでいる場合、どちらかの働き方が変わった瞬間、一気に家計が崩れるケースもあります。
実際、住宅購入前のライフプラン相談では、
「今は払える。でも数年後に教育費と住宅ローンが重なって赤字になる」
というケースはかなり多いです。
住宅ローンで苦しくなる原因は、“借入額そのもの”というより、“支出が重なるタイミング家計に余力がない”ということが原因であることも少なくありません。
結局、頭金はいくら入れるべき?
ここまで読むと、「じゃあ結局どうすればいいの?」と思いますよね。
個人的には、“全部を頭金に入れない”という考え方はかなり大事だと思っています。
特に、
・教育費がこれから増える
・共働き収入に依存している
・転職や働き方変更の可能性がある
・貯金がギリギリになる
こういった状況なら、「借入額を減らすこと」より、「手元資金を残すこと」の方が重要になるケースもあります。
逆に、
・十分な貯蓄がある
・収入が安定している
・金利上昇にも冷静でいられる
・生活防衛資金を残しても余裕がある
という方なら、フルローンという考え方が合理的になることもあります。
つまり大事なのは、「みんながどうしているか」ではありません。
家族構成、教育方針、働き方、貯蓄、将来の希望は、そのご家庭によって異なるため、頭金をどれだけ入れるのかということもまた、そのご家庭によって大きく異なります。
自分の家計の場合はどうなのか?
これが住宅購入の予算を考えるうえで最も大切なポイントとなります。
最後に
・この価格で本当に大丈夫なのか不安
・自分たちの適正な予算が分からない
・誰かに客観的に見てほしい
そう感じているなら、一度、数字で整理してみることをおすすめします。
住宅購入は、「なんとなく」で決めるには大きすぎる買い物です。
だからこそ、安心して進めるための確認は、感情ではなく数字で判断することが大切だということが伝われば幸いです。
最後まで、ご覧いただきありがとうございます。
▶▶無料相談・お問い合わせはこちら

